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Channel:    シンガーソングライター花れん                   
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宇和島で出会った石富由美子さん。

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石富由美子さん。

本当に美しい方でした。


土居裕子さんのブログ

https://ameblo.jp/doiyuko/entry-12442635402.html


「マドモアゼルモーツアルト」初演の時に土居裕子さんの故郷である宇和島にも公演に来てくれていました。

中学生だった私は、特別にリハーサルから見させて頂き、初めて見る場当たりや稽古着姿でウォームアップする役者さんたちを見て、


「うわぁ!こんな風に準備をしているんだ」


とワクワクしたり、


リハーサルを終えて、街へご飯を食べに行くのか、群でロビーに出て来たバンドさんたちを見て、ドキドキしたりしていました。


南予文化会館の2Fの踊り場でウォームアップされていた石富さんが降りてきて、2Fに上がろうとした私とすれ違いました。


すらっと伸びた長い足と小さなお顔が上から降りてきたんです。


発声をしながら降りてきた石富さんは、階段で私を見て発声をやめて、ニコッとしました。


中学生の私は、それまで見たことない美しい人に言葉を失い、「あっ」と言って口を開けたまま、ただ見つめていました。

足が動かなくて、右足だけ一段上に置いて止まったまま(笑)。


ちょっといたずらっ子のような笑い方をされて、美しいのになんだかボーイッシュな雰囲気も感じて、私の体は少しふわふわしました。


その後に見た、石富さんのカテリーナ役。


衝撃波のように瞼に焼き付いています。


土居裕子さん演じたモーツアルトのことを思い、3日間眠れませんでした^_^


15歳の感受性の高さに今も驚きます。


熱に浮かされたように心がここになく、空想の中に居続けた3日間でした。

モーツアルトが可哀想で、ずっと涙が止まらず、子供の私には、カテリーナという大人の女性の気持ちはその時理解できませんでした。


策略的で、嫉妬深いカテリーナと、

美しく、屈託のない笑顔を見せてくれた普段の石富さんの違いに


「役者さんってすごいなあ」


と思ったのをよく覚えています。


感受性の高いあの時期に、心が大きく揺れ動かされるような生の舞台を見させていただけたこと、本当に感謝しています。


土居裕子さんの故郷だからと、私が中高生だった5年間くらい、毎年新作を持って宇和島に来てくれていた音楽座。


その作品を宇和島で上演出来るように動いて下さっていた、土居裕子さんの恩師・神崎克彦先生を含め、熱意ある大人たちのお陰で、子供たちが享受できたものの大きさは計り知れないと、いつも思い返して感謝の気持ちでいっぱいになるのです。

自分が大人になるまで分からなかったことです。


その頃に出会った、私に衝撃を与えてくれた人たちの姿は今も鮮明に覚えています。

熱に浮かされた状態の私を見守ってくださっていた先生方のことも。


あの翌年に来た「リトルプリンス」での花役が大好きでした。


石富由美子さん。


心からご冥福をお祈りいたします。



追記:

この日は、神崎先生の計らいで、私と澤田美紀ちゃんの二人は、リハーサルを見させていただいたり、チケットもぎりのお手伝いをさせて頂ける事になっていたのです。

でも、この日は城東中学校の文化祭でした。

南予文化会館に行くには、文化祭を休んで行くしかありませんでした。

田舎の中学生にとって、こんな機会はまずありません。

そんな時になんで文化祭なんだ!!

文化祭なんて出てる場合じゃないんだ!

って怒りすら抱えている状態になっていた私を(笑)、

「直談判しに行こう」

と校長室に連れて行って下さり、

「この子の人生にとっては、今日南予文化会館に行くことの方がとても重要なんです。」

と言って校長先生を説得してくださった今は亡き私の恩師・奥村陽子先生には感謝してもしきれません。


そして、じっと私を見つめて、

「ふむ。行って来なさい」

と言って許可してくださった校長先生のご理解にも。


心に羽が生えたように、南予文化会館に飛んで行ったのを覚えています。


よくよく思い返してみると、

その当時は自分のことだけで必死で、周りが見えていなかったけれど、自分がどれだけ周りの大人たちの愛情と理解に包まれていたかを思い知ります。


私の中の石富さんの思い出と、宇和島のそんな愛ある大人たちとの思い出は、同じ出来事の中にあるんです。



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